亡兄の借金で苦しんだ話

早期退職をきっかけとして

恥ずかしい話ですが、私の実兄が内緒で借金をこさえたことの話をします。

そもそもは重度のアレルギー体質で、幼少時から入退院を繰り返した人でしたが。 製薬会社につとめて、それなりに自立した人生を歩んでいました。

しかし、45歳を超え、昇進の見込みがなくなった時点で、会社から人事管理の対象になりました。 早い話が、割増しの退職金をもらって辞めるか、給料を何割か減らしても居残るかという選択です。

悩んだ末兄は会社を辞め、専門学校に通い社会保障の資格をとろうとしました。 このあたりから鬱病を発症しはじめたようで、専門学校もうまくいかず、資格も取れず、お金は底をつきました。

そこで、信じられないことに家族に内緒でサラ金から金を借りていたようです。 さらには、日本宝くじ機構からも。 後になって請求書が来たため、親が気づいて問いただしたところ、600万円もの借金があったそうです。

借金返済の過払い金を取り返した

私の知らない間に妹が利子を返済していたようです。

しかし、それもいつまでも続けられるものではないので、弁護士に相談しました。 実家の土地を、相続権のあるわれわれ弟妹が兄の分を買い取り、過払い利子を弁護士に取り返してもらいました。

その交渉の過程でどれほどにみじめな思いをしたことか。 借金したお金は、医者に通っては鬱病の薬を大量に仕入れて飲んでいたようです。

すっかりボケ老人のようになった兄は、それから一段となにもしなくなり、1年前に発作でなくなりました。 正直、ホッとしました。

その後、借金は新たに発覚しませんでしたし。 最後に嫌味なく死んでくれてよかったと思っています。

なかにし礼の「お願いだから死んでくれ」という話を今でも思い出します。